【1281号】BOY&BOYISH設定~BOY&BOYISH 4、ついに「自分たちの歌」を探す 令和080918
BOY&BOYISH 4、ついに「自分たちの歌」を探す
海老楽大学 × 海老楽市役所、代表曲公募プロジェクト始動
BOY&BOYISH 4の活動が広がるにつれて、カイルと彩花には一つの悩みが大きくなっていました。
ステージは増えた。
テレビ出演もある。
地域イベントにも呼ばれる。
歌って踊る機会も多い。
けれど、自分たちのオリジナル曲がない。
そのため、毎回使うのは一般に流通している楽曲でした。
もちろん、無断で使うわけにはいきません。
イベントごとに必要な手続きを行い、放送利用なら放送側の処理も確認し、使用条件によっては著作権使用料も発生します。
活動が増えるほど、その負担も積み上がっていきました。
彩花、経費表を見て固まる
ある日の地域活動部の部室。
彩花がノートパソコンで会計資料を整理していました。
「……カイル」
「ん?」
「ちょっと見て」
画面には、イベントごとの音楽利用に関する費用が並んでいます。
カイルが覗き込む。
しばらく無言。
「増えたね」
「増えたどころじゃないよ」
彩花はスクロールします。
「地域イベント、テレビ、学園祭、交流会……。一回一回は大きくなくても、積み重なるとかなりある」
カイルも腕を組みました。
「これなら、いっそ自分たちの曲を作ったほうがいい」
彩花は即答。
「私も今、それ思った」
でも、誰が作る?
問題はそこでした。
陽太とリンは歌える。
蓮と悠真も歌える。
ダンスもできる。
でも四人とも、作曲家ではありません。
カイルは演出と構成には強い。
彩花は広報と記録。
けれど、本格的な作詞作曲となると話は別です。
リンが言いました。
「じゃあ、誰かに頼む?」
蓮。
「プロの作曲家ですか?」
悠真。
「それも結構お金かかりそう」
陽太は少し考えて、
「地域の人から募集するのは?」
部屋が静かになります。
彩花が顔を上げました。
「それ、いいかも」
「地域の曲を、地域で作る」
カイルはすぐホワイトボードに書き始めました。
BOY&BOYISH 4 代表曲公募
その下に、
海老楽市をテーマにした曲
地域の人が覚えやすいこと
子どもから高齢者まで一緒に歌えること
四人で歌って踊れること
と条件を書いていきます。
リンが言います。
「俺たちだけの曲っていうより、街の曲にしたいな」
彩花もうなずきます。
「それなら地域活動部らしい」
カイルがまとめました。
「自分たちのためだけの曲じゃない。
海老楽市の人と一緒に育てられる曲にしよう」
方向性は決まりました。
海老楽大学へ企画を持ち込む
まず相談したのは海老楽大学でした。
地域活動部の実績もあり、大学側の反応は早かった。
学長は企画書を読みながら、
「学生が地域と一緒に作品を作る。非常に大学らしいですね」
と評価。
大学は、
- 公募事務局
- 応募作品の管理
- 学内審査
- 音楽設備
- 最終発表会の会場
などで協力することになりました。
ただ、賞金や制作費まで大学だけで負担するのは難しい。
そこで、次に話が向かったのが海老楽市役所でした。
市役所でも話題になる
海老楽市役所では、BOY&BOYISH 4はすでに知られた存在でした。
地域イベントへの参加。
テレビ番組。
商店街との交流。
こども園やシニア向け行事。
市側にとっても、若い世代と地域をつなぐ象徴的な活動です。
企画を聞いた担当職員は言いました。
「これは単なるアイドルソング制作ではないですね」
彩花が答えます。
「はい。地域文化の発信として考えています」
カイルも続けます。
「採用曲はイベントや市の広報映像でも使えるようにしたいです」
担当職員の表情が変わりました。
「それなら、観光・文化振興事業として検討できます」
そして議会へ
ただし、市の予算を使う以上、簡単には決められません。
公募の賞金。
採用曲の編曲費。
録音費。
映像制作。
最終発表イベントの運営費。
こうした費用を含む予算案が、市議会へ提出されることになりました。
BOY&BOYISH 4の四人も、結果を待つしかありません。
悠真。
「これ、落ちたらどうなるんですか?」
彩花。
「規模を縮小して大学だけでやる」
蓮。
「でも賞金は……」
カイル。
「かなり減る」
リン。
「通ってほしいな」
陽太。
「ここまで地域でやってきたしな」
議会で可決
数日後。
部室に彩花が飛び込んできました。
「通った!」
全員が振り向きます。
「予算、可決!」
リン。
「本当に?」
「本当に!」
市の予算として、
代表曲公募事業の賞金・制作費・関連イベント費
が正式に認められました。
部室が一気に沸きます。
悠真は拍手。
蓮も珍しく大きな声で、
「やった!」
陽太は少し笑って、
「市の事業になったんだな」
とつぶやきました。
公募内容
正式名称は、
「海老楽市 × 海老楽大学
BOY&BOYISH 4 代表曲プロジェクト」
となりました。
募集対象は、プロ・アマ問わず。
学生。
地域住民。
市外からの応募も可能。
ただしテーマは明確です。
海老楽市、人とのつながり、地域、未来。
賞金に加えて、採用作品には記念品と市長・学長からの表彰。
さらに、完成曲はBOY&BOYISH 4が実際に歌い、地域イベントや海老楽テレビ、市の広報活動でも使用される予定になりました。
応募開始の日
募集開始日。
海老楽テレビでも特集が組まれました。
四人が並んで告知します。
陽太。
「僕たちの曲を作ってください」
リン。
「でも、僕たちだけの曲じゃなくて、みんなの曲にしたいです」
蓮。
「海老楽らしい音を待っています」
悠真。
「一緒に歌える曲がいいです!」
最後に四人で、
「応募、お待ちしています!」
と頭を下げました。
彩花の広報、大活躍
ここで一番忙しくなったのが彩花です。
募集要項。
ポスター。
SNS。
大学サイト。
市役所広報。
海老楽テレビ。
全部の情報を整理し、統一感を持たせて発信します。
そのころには彩花自身も地域ではかなり知られており、
「彩花さんが広報なら安心」
と言われるほどでした。
本人は苦笑い。
「私、いつの間にそんな立場になったの」
カイル。
「だいぶ前から」
カイルは審査基準づくり
一方のカイルは、
「いい曲なら何でもいい」
とはしませんでした。
審査基準を細かく作ります。
- 四人の声が生きること
- ダンスにしやすいこと
- 地域イベントでも歌えること
- 子どもにも覚えやすいこと
- 高齢者にも聞きやすいこと
- 数年後も使えること
そして最後に、
「地域に愛されること」
と書きました。
リンの一言
企画会議の最後。
リンがぽつりと言いました。
「なんか不思議だね」
陽太。
「何が?」
「最初は人の曲で踊ってたのに、今度は街のみんなに俺たちの曲を作ってもらうんだよ」
少し間があって、陽太が笑います。
「俺たちらしいんじゃない?」
リン。
「うん」
次の段階へ
BOY&BOYISH 4は、ついにオリジナル曲を持つ準備に入りました。
しかも、それは芸能事務所が用意した曲ではありません。
海老楽大学。
海老楽市役所。
地域の人たち。
そして四人。
みんなで一つの曲を探すプロジェクトです。
歌を作ること自体が、地域活動になった。
それこそが、このユニットらしい最初のオリジナル曲の始まりでした。




