【1283号】BOY&BOYISH設定~BOY&BOYISH 4、代表曲がついに決定 令和080918

 


BOY&BOYISH 4、代表曲がついに決定

「みんなの歌」が、四人の歌になった日

海老楽大学と海老楽市役所のタイアップで始まった、BOY&BOYISH 4 代表曲公募プロジェクト。

きっかけは、とても現実的な問題でした。

地域イベントやテレビ出演が増えるほど、一般楽曲を使うための著作権処理や使用料も積み重なる。カイルと彩花は会計資料を見ながら、

「そろそろ、自分たちの曲が必要だね」

と話すようになっていました。

そして始まったのが、大学と市役所を巻き込んだ代表曲の公募です。

賞金や記念品、編曲・録音費、発表イベントの費用についても海老楽市議会で予算が可決され、プロジェクトは正式な地域文化事業として動き出しました。


応募総数、予想を大きく超える

公募開始から数週間。

地域活動部の部室には、次々と応募データが届きました。

学生から。

市民から。

地元の音楽教室の先生から。

昔バンドをやっていた会社員から。

さらには海老楽市外からも。

彩花が応募一覧を見ながら言います。

「ちょっと待って。こんなに来ると思ってた?」

カイルは画面をスクロールしながら、

「思ってない」

リン。

「何曲?」

彩花。

「まだ増えてる」

陽太。

「全部聴くんだよな?」

カイル。

「もちろん」

悠真が小声で、

「審査だけでライブ一本分ありそう」

蓮は真面目に、

「でも、全部誰かが本気で作ってくれた曲ですから」

と言いました。

その一言で、全員の表情が少し引き締まりました。


一次審査

審査は人気投票にはしませんでした。

カイルが作った基準に沿って、

歌いやすさ。
四人の声との相性。
ダンスへの展開。
地域性。
世代を越えて覚えられること。
長く使えること。

を一曲ずつ確認していきます。

彩花は応募者名を伏せた状態で資料を整理しました。

「誰が作ったか」で評価が変わらないようにするためです。

陽太とリン、蓮、悠真も実際に仮歌を歌ってみました。

ある曲では、

「サビ高すぎる」

別の曲では、

「ダンスは作りやすいけど、地域イベントには少し激しいかな」

また別の曲では、

「いい曲だけど、BOY&BOYISH 4じゃなくても成立しちゃう」

と意見が出ます。

何度も聴き、何度も歌い、候補は少しずつ絞られていきました。


最終候補、5曲

最終的に残ったのは5曲。

ここからは海老楽大学の音楽関係者、市役所の文化担当、地域代表、海老楽テレビの音楽スタッフも審査に加わりました。

もちろん、四人も参加します。

ただしカイルは最初に言いました。

「自分たちが歌いたい曲だけで決めないで。地域で使われる曲だから」

リンもうなずきます。

「子ども園でも、商店街でも、シニアのイベントでも歌える曲がいい」

蓮。

「テレビだけ映える曲じゃ駄目ですね」

悠真。

「みんなでサビを歌えたらいいな」

陽太は、

「聞いたあと、街を歩きながら口ずさめる曲」

と付け加えました。


その曲

5曲目。

ピアノのイントロは、とてもシンプルでした。

派手な電子音も、大きなドラムもありません。

少しずつ楽器が増えていき、

四人が仮歌を始めます。

最初は陽太。

そこへ蓮。

リン。

悠真。

そしてサビ。

4人の声が重なった瞬間。

部屋の空気が変わりました。

彩花は、途中から何も書かなくなっていました。

カイルも腕を組んだまま動きません。

曲が終わります。

しばらく誰も話しませんでした。

最初に口を開いたのはリンです。

「……これ、好き」

陽太も、

「うん」

蓮。

「なんか、初めて聴いた感じがしないです」

悠真。

「もうサビ覚えました」

彩花が笑いました。

「私も」


タイトル

その曲のタイトルは、

「この街で、ずっと。」

でした。

歌詞の中心にあったのは、スターになることでも、夢を追いかけて遠くへ行くことでもありません。

朝の商店街。

学校帰りの道。

祭りの提灯。

知らない人から「おかえり」と言われる街。

そして、

違う人同士が、同じ場所で一緒に暮らしていくこと。

その内容が、BOY&BOYISH 4の活動そのものと重なりました。


最終審査

審査員からも高い評価が集まりました。

大学側からは、

「学生と地域の関係が歌詞に自然に入っている」

市役所側からは、

「市のPRソングになりすぎず、生活の歌になっている」

地域代表からは、

「私たちも一緒に歌えそう」

という意見。

そして海老楽テレビのスタッフは、

「映像が浮かぶ曲ですね」

と評価しました。

投票の結果。

「この街で、ずっと。」が代表曲に決定。


作曲者発表

ここで初めて、応募者の名前が明かされました。

作詞作曲は、海老楽市に住む24歳の会社員。

高校時代まで軽音楽部に所属していましたが、プロを目指した経験はありません。

仕事帰りに海老楽テレビでBOY&BOYISH 4の地域活動を見て、

「この四人なら、街の歌を歌えるかもしれない」

と思い応募したのでした。

本人は最終審査会場で名前を呼ばれた瞬間、完全に固まっていました。

「……僕ですか?」

会場から拍手。

彩花も笑いながら拍手します。

カイルは立ち上がって握手を求めました。

「素敵な曲をありがとうございます」


表彰式

後日。

海老楽市役所のホールで表彰式が行われました。

市長。

学長。

作詞作曲者。

BOY&BOYISH 4。

カイル。

彩花。

関係者が並びます。

市長から賞金と記念品が贈られました。

そして市長は、

「市の予算で始まった事業ですが、これは市役所が作った曲ではありません。市民と学生が一緒に作った曲です」

と挨拶しました。

その言葉に会場から大きな拍手が起きました。


初めて「自分たちの曲」を歌う

表彰式の最後。

BOY&BOYISH 4が、完成版を初披露します。

カイルが整えた振付。

彩花が考えたステージ構成。

陽太が歌い始め、

蓮が重なり、

悠真が高音へ、

リンがサビを引き上げます。

最後は四人全員。

会場のスクリーンには、これまで訪れた地域の写真が映ります。

商店街。

こども園。

シニア向けイベント。

海老楽テレビ。

大学。

祭り。

そして地域の人たち。

サビの最後。

この街で、ずっと。

会場から自然に拍手が起きました。


終演後

舞台袖。

悠真が興奮気味に言います。

「初めて、自分たちの歌を歌った感じしました」

蓮もうなずきます。

「借り物じゃないんですね」

陽太。

「でも、俺たちだけの曲でもない」

リンは笑いました。

「そこがいいんじゃない?」

カイルも、

「うん」

彩花はその様子を写真に収めました。


BOY&BOYISH 4の代表曲

こうして、

「この街で、ずっと。」

はBOY&BOYISH 4の正式な代表曲になりました。

イベントの最後に歌われる曲。

海老楽テレビのコーナーで流れる曲。

市の地域交流映像にも使われる曲。

そしていつしか、観客も一緒にサビを歌う曲へ。

著作権料を減らすために始まった企画は、思いがけず、

BOY&BOYISH 4と海老楽市を結ぶ、一番大切な歌

を生み出したのでした。


「落選作」を作らなかった公募

BOY&BOYISH 4の代表曲公募は、**「この街で、ずっと。」**の決定で終わりませんでした。

むしろ、そこからが海老楽大学と海老楽市らしい展開でした。

最終候補に残らなかった曲も、一次審査で止まった曲も、応募者が時間をかけて作った作品です。彩花は審査資料を整理しながら、ぽつりと言いました。

「これ、全部“没”にするのはもったいないよね」

カイルも同じことを考えていました。

良い曲はたくさんある。
ただ、代表曲として一番合う曲が一つだっただけ。

そこで大学、市役所、地域活動部は、新しい方針を決めました。

応募曲を可能な限り活用する。


まずは盗用チェック

ただし、そのまま使うわけにはいきません。

応募曲については、既存楽曲との酷似や無断流用がないかを確認するため、大学の音楽関係者や外部専門家も交えてチェックが行われました。

メロディ。

歌詞。

コード進行。

既存作品との類似。

出典不明のサンプル音源。

問題がないことを確認した作品だけが、正式な候補として残されました。

彩花は応募者への連絡文も一件ずつ丁寧に作りました。

「採用・不採用という二択ではなく、作品ごとの活用可能性を検討します」

という方針です。


アルバム企画へ

やがてカイルが新しい企画書を持ってきます。

タイトルは、

「BOY&BOYISH 4 地域公募アルバム」

代表曲だけでなく、公募で集まった曲の中から複数作品を選び、アレンジしてアルバムに収録する案でした。

ある曲は、四人全員で歌う。

ある曲は陽太と蓮の落ち着いたデュエット。

ある曲はリンと悠真の軽やかな曲。

また別の曲は、地域イベントのオープニング用。

子ども向け。

シニア向け。

商店街向け。

季節イベント向け。

一曲ごとに役割を持たせました。

リンは曲目表を見て笑いました。

「これ、俺たちのアルバムっていうより、街の音楽集だね」

カイルも、

「そのほうがうちらしい」

と答えます。


イベントでも使われる

採用された応募曲は、アルバムだけに閉じ込められませんでした。

春祭り。

夏祭り。

大学祭。

こども園イベント。

地域交流会。

海老楽テレビ。

それぞれの場面に合う曲が選ばれます。

以前は一般楽曲を使っていた場面が、少しずつ公募作品の音楽へ置き換わっていきました。

「この曲、私が応募した曲です」

と家族に話す人。

自分の曲が商店街で流れているのを聞いて、立ち止まる人。

海老楽テレビで自作曲が使われ、慌てて録画する応募者。

公募は、作曲者にとっても「一度きりのコンテスト」ではなくなっていきました。


著作権も曖昧にしない

ここで、海老楽大学と市役所はもう一つ重要なルールを作りました。

作品の権利関係を最初から明確にすること。

使用する楽曲については正式に著作権登録を行い、作詞者・作曲者の権利を記録。

そのうえで、イベント使用、アルバム販売、配信、放送などから収益が発生した場合は、あらかじめ定めた契約に基づいて分配する仕組みが整えられました。

分配先は、

応募者・受賞者、海老楽市、海老楽大学、BOY&BOYISH 4側

です。

作者だけが置き去りになることもない。

逆に、大学や市だけが利益を取ることもない。

ユニット側にも活動継続に必要な収益が入る。

地域全体で作品を育てる仕組みでした。


彩花の広報

この制度を一番分かりやすく説明したのも彩花でした。

ブログにはこう書きます。

「採用されなかったら終わり」ではありません。
良い曲には、それぞれ似合う場所があります。
代表曲にならなくても、イベント曲になるかもしれない。
アルバムに入るかもしれない。
誰かの思い出の曲になるかもしれない。

この文章は応募者からかなり好評でした。

「応募してよかった」

「曲を大事に扱ってもらえた」

という声も届きます。


カイルの考え

カイルは後に、海老楽テレビのインタビューでこう話しました。

「コンテストって、普通は一曲を選んで残りを落とすでしょ。
でも今回は、街のために作ってくれた曲だから、できるだけ活かしたかったんです」

そして少し笑って、

「もちろん、全部そのまま使えるわけじゃない。
でも、“代表曲じゃなかった”と“価値がない”は全然違います」

と続けました。


四人にとっても大きな財産に

陽太、リン、蓮、悠真にとっても、これは大きな変化でした。

ライブごとに曲を選べる。

地域に合わせて構成を変えられる。

自分たちの声に合う曲が少しずつ増えていく。

陽太が言います。

「一般曲を借りてたころより、ステージに意味が出た気がする」

蓮も、

「この曲を書いた人が、この街にいるんですよね」

悠真。

「それってすごいですよね」

リンは少し考えてから、

「歌うたびに、誰かの顔が浮かぶのがいい」

と言いました。


「この街で、ずっと。」だけではない

代表曲はもちろん、

「この街で、ずっと。」

でも、BOY&BOYISH 4を支える歌は一曲だけではありません。

公募から生まれた何十もの作品。

それを作った人たち。

それを聴く地域の人。

それを歌う四人。

大学。

市役所。

彩花。

カイル。

すべてが少しずつつながって、BOY&BOYISH 4の音楽になっていきました。

一曲を選ぶための公募が、街に音楽を蓄積する仕組みへ変わった。

それが、このプロジェクトの本当の成功でした。


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