【1262号】BOY&BOYISH設定~BOY&BOYISH、こども園へ 令和080916

 

BOY&BOYISH、こども園へ

特別ゲストは、子どもたちより先に保護者席をざわつかせた


海老楽市内のこども園から、BOY&BOYISHに一本の出演依頼が届きました。

園の秋イベントで行われる、歌とダンスの交流会。その特別ゲストとして、陽太とリンに出演してほしいというものでした。

地域イベントではすっかりおなじみの二人ですが、こども園は初めてです。

「幼児向けって、いつもの振付じゃ速すぎるよね」

リンが言うと、カイルはすぐに構成を変更します。

「ジャンプもターンも半分。代わりに、一緒にできる動きを増やそう」

彩花も横から、

「手拍子と、腕を上げる動きならみんなできそう」

と提案。

こうしてBOY&BOYISH初のこども園仕様ステージが完成しました。


園児たち、登場前から大騒ぎ


当日。

陽太とリンが控室から出てくる前から、会場には手作りの飾りが並んでいました。

画用紙で作られた、

「BOY&BOYISHさん ようこそ!」

の文字。

子どもたちの描いた二人の似顔絵。

陽太らしき人物は、なぜか全員ものすごく長身。

リンらしき人物は、ほぼ全員が大きなスカートを履いています。

リンはその絵を見て笑いました。

「俺のスカート、実物より三倍くらい広い」

陽太が一枚を見ながら言います。

「俺、身長三メートルあるぞ」

「人気者って大変だね」

「お前もな」




ステージ開始

音楽が流れます。

まず陽太が登場。

子どもたちから、

「ヨータ!」

と歓声。

続いてリン。

「リンー!」

さらに大きな歓声。

いつもの紺ブレザー。

陽太はスラックス。

リンはプリーツスカート。

もはや地域ではおなじみの組み合わせです。

リンが手を振ると、前列の子どもたちも一斉に手を振ります。

陽太が腕を上げる。

全員が真似をする。

リンがゆっくり一回転。

今度は子どもたちまで、その場でくるくる回り始めます。

先生たちが慌てて、

「ぶつからないようにねー!」

と声をかけます。

会場は一気に運動会状態です。


子どもたちから大人気

交流タイムになると、二人の周りにはすぐに子どもたちが集まりました。

「リン、なんでスカートなの?」

一人の子が聞きます。

リンはしゃがんで目線を合わせ、

「踊ると、くるって広がってきれいだからだよ」

と答えます。

すると別の子が、

「ぼくもくるくるしたい!」

もう一人が、

「わたしも!」

リンは笑って、

「じゃあ、みんなでゆっくり回ろう」

と、その場でミニ回転教室を始めます。

一方の陽太は、子どもたちに囲まれてジャンプの真似をさせられていました。

「ヨータ、ジャンプして!」

「高いやつ!」

「もう一回!」

陽太は三回目くらいで、

「先生、これ何回までですか」

と真顔。

園の先生は笑いながら、

「子どもたちが飽きるまでです」

「終わらないですね」

リンが横で大笑いします。


ところが、本当の大人気は別の場所にあった


イベント終了後。

彩花が会場後方を見て、何かに気づきました。

保護者席です。

特に母親たち。

ざわざわしています。

最初は子どもの写真を撮っていたはずなのに、いつの間にかスマートフォンの向きが明らかにステージ方向へ変わっています。

彩花が小声で、

「カイル」

「うん」

「お母さんたち、二人撮ってない?」

「さっきからずっと撮ってる」

陽太とリンが子どもたちと記念撮影を始めると、保護者席から聞こえてきます。

「陽太くん、実物すごく背が高い」

「リンくん、顔きれい……」

「スカート似合ってる」

「二人とも大学生なんですよね?」

「次の地域イベントどこ?」

子どもたち以上に情報収集が速い。

彩花、完全に笑いをこらえています。


保護者との記念撮影まで始まる

園児との写真撮影が終わると、一人のお母さんがおそるおそる先生に尋ねました。

「すみません……保護者も一緒に写真、いいんでしょうか?」

先生が二人を見る。

リンは即答。

「もちろんです」

陽太もうなずきます。

すると、

保護者席が動いた。

さっきまで椅子に座っていた母親たちが、急に整然と列を作り始めます。

カイルがその光景を見て、

「園児より列長くない?」

彩花はスマートフォンにメモします。

『本日の最大瞬間人気、保護者撮影会』

もちろん父親たちも混ざっています。

しかし母親層の勢いが強い。

「リンくん、真ん中お願いします!」

「陽太くんも一緒に!」

「すみません、もう一枚だけ!」

陽太、小声でリンに。

「聞いてた話と違う」

リン。

「俺も」


帰りの控室

出演終了。

陽太は椅子に座り、

「疲れた」

リンも隣に座ります。

「子どもたち元気だったね」

彩花が笑います。

「子どもたちも、ね」

陽太が顔を上げます。

「も?」

カイルが即答。

「今日、一番盛り上がってたの保護者席」

リンが吹き出します。

陽太はしばらく黙ったあと、

「……子ども向けイベントだったよな?」

彩花はブログ用の写真を整理しながら言いました。

「BOY&BOYISHは全年齢対応だったということで」


数日後。

こども園から届いたお礼状には、こう書かれていました。

園児たちが毎日のようにBOY&BOYISHのダンスを真似しています。
保護者の皆さまからも「また来てほしい」という声を多数いただきました。

リンは読み終えると笑いました。

「また行こうよ」

陽太も少し笑って、

「次はジャンプ回数を決めてからな」

と言いました。

こうしてBOY&BOYISHはまた一つ、活動の場所を広げました。

子どもたちの人気者になり、なぜかその母親たちにはもっと人気者になって帰ってきたのでした。

人気の投稿