【15号】「藤田悠斗の物語:純粋な情熱と未来の星」 令和070330





 「藤田悠斗の物語:純粋な情熱と未来の星」

第1章:夢の種(2023年~2025年)
2023年、緑川町の夏は蝉の声が響き渡ってた。俺、藤田悠斗は16歳で、高校1年の夏休みだった。緑川町立高校の図書室に忍び込んで、埃っぽい棚の奥から祖父の遺した医学書を見つけた。藤田明夫。俺のおじいちゃん。表紙に書いてあった名前を指でなぞって、胸が熱くなった。おじいちゃんは緑川町で医者やってて、10歳の時に亡くなったけど、「医者は人の心を救う仕事だよ」って教えてくれた。その言葉が頭に残ってて、俺は医学書を開いた。
ページをめくるたび、おじいちゃんの優しい声が聞こえる気がした。俺は立ち上がって、窓から見える田んぼを見つめた。「おじいちゃんみたいに、俺も医者になって人を救いたい」。そう呟いたら、心が決まった。家に帰って、母ちゃんに言った。「母ちゃん、俺、医者になるよ」。母ちゃん、美和は少し驚いた顔で、「悠斗ならやれるよ。おじいちゃんも喜ぶね」と笑った。俺は頷いて、机に向かった。夢の種が、俺の中で小さく芽生えたんだ。
2024年、17歳の夏。俺は高校2年で、受験勉強に追われてた。緑川町は静かで、友達も少なくて、俺はいつも一人で本を読んでた。人付き合いが苦手で、教室じゃ隅っこにいるタイプ。でも、医者になる夢はどんどん大きくなってた。夜、母ちゃんが「東京ってどんなとこだろうね」と聞いてきた時、俺は「星翔大学に行きたい」と答えた。おじいちゃんの医学書に書いてあった大学だ。母ちゃんが「悠斗なら行けるよ」と背中を押してくれて、俺はノートを開いた。東京は遠いけど、夢は近づいてた。
2025年、18歳の春。俺は星翔大学医学部に合格して、緑川町から上京した。初めての東京は人が多すぎて、俺は縮こまってた。でも、キャンパスの桜並木を見たら、心が落ち着いた。医学部1年の実習が始まって、俺は緊張で手が震えてた。そんな時、実習班で陽太先輩と会った。佐藤陽太、20歳の3年生。切れ長の目と穏やかな笑顔が印象的で、白衣姿がカッコよかった。陽太先輩が「藤田、緊張するなよ。ゆっくりでいいから」と言ってくれて、俺は「はい!」と頷いた。
実習の後、陽太先輩が俺に話しかけてきた。「藤田、医者になりたい理由って何?」俺は少し考えて、「おじいちゃんが医者で、人の心を救う仕事だって教えてくれたから」と答えた。陽太先輩が「いい理由だな。俺も医者目指してるよ」と言って、下腹部の傷跡を見せてくれた。「これ、昔の手術ミスでさ。でも、乗り越えたから今がある」。俺は目を丸くして、「陽太先輩、すごいです!」と叫んだ。陽太先輩が笑って、「お前も頑張れよ」と言った時、俺の胸が熱くなった。おじいちゃんの夢に、陽太先輩の強さが重なって、俺の中で何かが動き出した。
夜、寮の部屋で俺は母ちゃんに電話した。「母ちゃん、すごい先輩に会ったよ。俺、医者になるだけじゃなくて、陽太先輩みたいに強くなりたい」。母ちゃんが「悠斗らしいね。おじいちゃんも応援してるよ」と笑ってくれた。俺は窓の外を見て、星が一つ輝いてるのに気づいた。あれが俺の未来なら、陽太先輩みたいに輝きたい。そう思った。
第1章の終わり
医者への夢は緑川町の小さな種から始まって、陽太先輩との出会いで大きく育ち始めた。俺はまだ未熟で、人付き合いも苦手だけど、おじいちゃんの言葉と陽太先輩の背中が、俺を前に押し出してくれた。俺は知らなかった。この純粋な情熱が、いつか俺を未来の星に変えるなんて。

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