【216号】傷跡の誓い 令和070515


 傷跡の誓い

第3章:講義室の朝と嫉妬の炎

2023年4月2日、星翔大学の医学部講義室は朝の光に輝いていた。大きな窓から差し込む陽光が机を照らし、桜の花びらが風に舞い込む。学生のざわめきとペンの音が新学期の活気を奏でる。佐藤陽太は窓際の席に座り、切れ長の目をノートに落とす。21歳の彼の黒髪ショートが朝風に揺れ、医学部ユニフォームにジャケットがクールに映える。昨夜のカフェ「月灯り」で悠斗の手を握った温もりが、陽太の胸をまだ熱くさせていた。

「陽太、おはよう! 昨日、悠斗くんと遅くまで話してたんだよね?」

明るい声が響き、山田彩花が陽太の隣に滑り込む。21歳の彼女はショートカットの髪が朝日に透け、160cmの華奢な体から柔和な笑顔がこぼれる。彩花は陽太の親友として、彼と悠斗の親密な空気を察し、からかうように目を細める。「ねえ、悠斗くん、めっちゃ陽太のこと見てたよ。いい感じじゃない?」

陽太はふっと笑い、彩花の肩を軽く叩く。「お前、からかうなよ。…でも、悠斗のピュアさ、なんか…心にくるんだ」彼の声は低く、昨夜の悠斗の涙と握った手が蘇る。彩花は頷き、「陽太、悠斗くんに傷の話、ちゃんと話してあげなよ。『この傷、宝物だよ』って、私が言ったみたいにさ」と囁く。陽太の胸に、傷跡を「宝物」に変えた彩花の言葉が響く。

講義室の反対側では、藤田悠斗が19歳の初々しさで席に着く。丸顔の垂れ目が陽太と彩花を捉え、黒髪ウェーブが朝日に輝く。スウェット姿の170cmの体がそわそわと揺れ、昨夜の陽太の手の温もりが胸を締め付ける。「陽太先輩…俺、先輩のこと…」悠斗の心に、陽太への憧れが愛の炎に変わる。だが、陽太と彩花の親しげな笑顔に、嫉妬の棘がチクリと刺さる。「先輩、彩花さんと…そんな仲いいんだ…」

講義が終わり、学生たちが教室を去る中、悠斗は意を決して陽太に近づく。「陽太先輩! あの…昨夜の話、もっと聞きたいっす!」彼の声は震え、瞳が陽太を真っ直ぐ捉える。彩花は微笑み、「じゃ、二人で話してね。陽太、悠斗くんのこと、ちゃんと見てあげて」と席を立つ。陽太は悠斗を窓際の席に引き寄せ、朝日の中で肩を抱く。「悠斗、昨夜、傷の話したよな。あれ、彩花のおかげで変わったんだ」

陽太の腕が悠斗の肩を強く抱き、視線が悠斗の潤んだ瞳に深く沈む。「彩花が『この傷、宝物だよ』って言ってくれて、俺、初めて自分の弱さを愛せた。『傷跡を宝物に』って、医者になる理由なんだ」彼の声は低く、情熱が滲む。悠斗の胸が締め付けられ、嫉妬の炎が愛の涙に変わる。「先輩…俺、彩花さんに嫉妬して…バカっすよね。でも、先輩の傷、俺の宝物っす! 俺、先輩と一緒なら、どこまでだって…!」

悠斗の涙が陽太の胸に落ち、陽太は悠斗の頬をそっと撫でる。「バカじゃねえよ、悠斗。お前のピュアな心、俺の心をガツンと撃つんだ」陽太のクールな微笑みが悠斗を包み、朝日が二人の視線を濃密に絡ませる。陽太の手が悠斗の肩から首筋に軽く触れ、囁く。「一緒に、患者の心を救おうぜ。地域医療、輝かせよう」

悠斗は陽太の手に自分の手を重ね、涙を拭う。「はい、先輩! 俺、先輩の愛、全部受け止めるっす!」二人の視線が朝日で溶け合い、桜の花びらがパステル画の柔らかい色調でロマンスを彩る。陽太の傷跡は服の下に隠れているが、悠斗の涙と触れ合いが、それを「宝物」に変えた。


人気の投稿