【346号】新聞部長 山下慎一郎~新章:影の報復(Grok生成) 令和070614

 

新章:影の報復
あらすじ
 山下慎一郎、東高校新聞部の新部長として、仲間と共に輝かしい活動を続けてきた。しかし、中学時代に彼をいじめた加藤と山本は、9組に潜み、慎一郎の成功を妬む目で監視していた。6月、総合体育大会の取材に追われる中、忠が加藤らの企みを耳にし、事件が勃発。忠が襲われ、慎一郎は新聞部の力を結集し真相を暴く。加藤と山本は逮捕され退学となり、慎一郎は過去のトラウマを乗り越え、仲間と共に新たな希望を見出す物語。
第一節 予感
 6月18日、放課後。新聞部の部室は、総合体育大会の特集記事の企画で賑わっていた。窓から差し込む柔らかな夕陽が、作業机に散らばるノートやペンを照らしている。僕、 山下慎一郎は、若葉良輔さんと松山浩輔さんと一緒に、取材スケジュールを確認していた。ペンを手に持つ手が少し震えていたのは、疲れではなく、なぜか胸の奥に去来する不安のせいだった。
 「慎一郎君、ここは柔道部の試合時間を調整しようか」
 若葉さんの穏やかな声が部室に響く。僕はうなづき、システム手帳を開いてスケジュールを書き込んだ。入部して間もない頃、若葉さんとの言葉の行き違いで部が揺れたことを思い出す。あの時も、こんな胸騒ぎを感じたっけ…。でも、今は違う。みんなと絆を深め、信頼で結ばれている。なのに、なぜだか心がざわついている。
 その時、ドアが勢いよく開き、忠が息を切らして飛び込んできた。
 「慎一郎、ヤバいよ!加藤と山本が何か企んでるみたいだ!」
 忠の声は焦りを帯び、額には汗が光っていた。部員たちが一斉に顔を上げ、静寂が部室を包んだ。僕の心臓がドキリと跳ねた。加藤と山本…。中学時代、僕を孤立させ、辱めたあの二人。東高に合格した日以来、彼らの影が遠ざかっていたはずなのに。
 「忠君、どうしたの?落ち着いて」
 美佐子が立ち上がり、忠の肩に手を置いた。忠は息を整え、言葉を絞り出した。
 「昼休み、校舎裏で加藤が『山下を仕置く』って呟いてたのを聞いた。山本もニヤニヤしてて、なんか企んでる感じだったんだ。すぐに伝えた方がいいと思った」
 部室に重い空気が流れた。沢村加代さんが冷静に口を開いた。
 「証拠がないと動けないわ。でも、警戒は必要ね。増田先生に相談しましょう」
 竹本翔太さんも頷き、「山下君と川野君の安全が第一だ。先生に事情を話して、様子を見るべきだ」と提案した。僕はうなづいたが、心の中ではあの忌まわしい記憶が蘇っていた。中学二年生、体育祭の練習後、加藤と山本に服を奪われ、見せ物にされた屈辱。屋上から飛び降りようとした僕を、孝浩君が救ってくれたあの瞬間…。あの二人がまた近づいてくるなんて。
 「僕、先生に相談に行くよ。忠君はここで休んでて」
 立ち上がろうとした僕を、忠が止めた。
 「慎一郎、一人じゃ危ない。俺も行く」
 美佐子の目が僕を心配そうに見つめた。彼女も中学時代、僕を守るために「私の彼氏」と叫んでくれた恩人だ。みんなの視線を感じながら、僕は深呼吸した。
 「ありがとう。じゃあ、みんなで先生のところへ行こう」
 増田先生の教室へ向かう途中、校庭の桜並木が夕陽に染まる様子が目に映った。希望に満ちた入学式の朝を思い出す。あの頃も、不安と期待が入り混じっていた。でも、今は仲間がいる。どんなことがあっても、乗り越えられるはずだ。
第二節 忠の危機
 6月19日、深夜。忠は帰宅途中の暗い路地で、加藤と山本に待ち伏せされた。月明かりが乏しく、街灯の光も届かない場所だった。忠は野球部の練習を終え、カメラバッグを肩にかけていた。ふと後ろを振り返ると、影が二つ近づいてくる。
 「川野、お前か。山下を守るからこうなったんだよ」
 加藤の低い声が路地に響いた。山本がニヤリと笑い、忠を取り囲むように動いた。忠はハッとして後ずさったが、袋小路に追い詰められた。
 「何!?何の話だよ!」
 忠が叫ぶと、加藤が拳を振り上げた。「お前が山下にチクったせいで、俺たちは目立たねえ存在になった。仕返しだ!」その瞬間、拳が忠の頬に当たり、カメラが地面に落ちた。山本も加わり、忠を蹴った。数人の影がさらに現れ、忠は抵抗を試みたが、力及ばず。
 「やめろ!何!?」
 忠の叫びが路地にこだました。幸い、近所の住人が物音に気づき、窓から「何事だ!」と怒鳴った。加藤たちは慌てて逃げ去った。忠は額から血を流し、よろめきながら路地に倒れ込んだ。住人が駆けつけ、救急車を呼んだ。
 翌朝、慎一郎は忠の電話で病院に駆けつけた。病室のベッドに横たわる忠は、額に絆創膏を貼られていた。美佐子、孝浩、和田も後からやってきた。
 「忠君!大丈夫!?」
 僕が駆け寄ると、忠は弱々しく笑った。
 「慎一郎…ごめん。加藤が『次はお前を消す』って言ってた。俺、気絶する前まで抵抗したけど…」
 涙が忠の頬を伝った。僕はベッドの脇に跪き、頭を下げた。
 「僕が原因だ。ごめん、忠君…」
 「何!?慎一郎、そんなことないよ。仲間を守るのは当然だ。俺、悔しいだけだよ」
 忠の言葉に、胸が締め付けられた。中学時代、僕を救ってくれた忠が、今度は僕のせいで傷ついている。美佐子がハンカチを差し出し、孝浩が「加藤め…許せねえ」と呟いた。
 増田先生が病室に入ってきた。沢村さんと竹本さんも同行していた。
 「山下、川野の容態は軽傷でよかった。だが、これは重大事だ。警察に通報しよう」
 先生の言葉に、僕はうなづいた。竹本さんが冷静に提案した。
 「証拠を集める必要がある。川野が襲われた状況を記録に残そう。新聞部で特集記事を組むのはどうだ?」
 沢村さんも賛同し、「山下君の安全と、みんなの安心のために、真相を暴きましょう」と決意を固めた。僕は立ち上がり、拳を握った。
 「僕、加藤と山本を学校から追い出したい。みんなで力を合わせて」
第三節 真相の追及
 6月20日、慎一郎は新聞部を挙げて加藤と山本の行動を調査し始めた。増田先生と校長に相談し、警察への通報を決定。忠の証言と近隣住民の録音データを提出した。新聞部は、加藤と山本の中学時代からのいじめ記録や、試験での不正疑惑を掘り起こす特集記事を企画した。
 部室では、若葉さんがパソコンで資料を整理し、岡さんが過去の新聞をスキャンした。美佐子と佐野さんが被害者を匿名で聞き取り、林と田中が証拠をまとめていた。僕はシステム手帳に取材メモを書き込みながら、胸の鼓動を感じていた。
 「慎一郎君、加藤が中学で他の生徒にも嫌がらせをしてた証言が出てきたわ」
 美佐子が僕に近づき、ノートを見せた。そこには、加藤が女生徒を使い1年生を脅した事例が記されていた。僕は唇を噛んだ。
 「僕だけじゃなかったんだ…。みんなを守らなきゃ」
 竹本さんが僕の肩に手を置いた。
 「山下君、君が一人で抱え込むな。僕たち全員で戦う。加藤と山本は、君の成功を妬んでるだけだ」
 校長室で、増田先生と慎一郎は証拠を提出。校長は「重大事件だ。警察に連絡する」と即決した。新聞部は「校内安全を脅かす影」と題した号外を急ピッチで作成。6月22日、校内に配布された。
第四節 対決と解決
 6月22日、校庭。号外が配布され、校内は騒然とした。加藤と山本は詰問を受け、最初は否定した。慎一郎は部員と共に校庭に立ち、「もうやめて。みんなで幸せに暮らしたいだけだ」と訴えた。加藤は「お前が目立ちやがって!」と怒鳴り、殴りかかろうとした。
 村井と丸山が割って入り、「やめろ!」と制止。警察が到着し、加藤と山本は現行犯逮捕された。慎一郎は震えながらも、仲間たちに囲まれていた。
 裁判では、忠の証言と新聞部の調査が決め手となり、加藤と山本は傷害罪と脅迫罪で有罪。東高は二人を退学処分とした。慎一郎は部員に感謝を述べ、「これからもみんなで支え合おう」と誓った。
第五節 新たな希望
 6月25日、総合体育大会の取材で新聞部は結束を深めた。慎一郎は部長として、過去のトラウマを乗り越え、仲間と共に未来を描いた。校庭の桜並木で、部員全員が拳を重ね、「自分らしく」を合言葉に新たな一歩を踏み出した。

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