【1355号】BOY&BOYISH 5 「脚本家、ついに正式メンバーへ」 令和080928
BOY&BOYISH 5
「脚本家、ついに正式メンバーへ」
竹本翔太のダンス参加は、最初はあくまで一度きりの特別企画のはずでした。
本人もそう思っていました。
脚本を書く人。
記事を書く人。
お好み焼きミーティングを仕切る人。
その翔太が、リンと同系統のスカート制服でステージに立ち、しかも予想以上に踊れてしまった。
そこから話は、妙に自然な方向へ転がっていきます。
「翔太、正式に入らない?」
練習後。
カイルが何気なく言いました。
「翔太、正式に入らない?」
翔太。
「何にですか?」
カイル。
「BOY&BOYISH 4」
翔太。
「4ですよね?」
彩花。
「そこから?」
悠真。
「先輩、まず人数から引っかかりましたね」
リン。
「5にすればいいじゃん」
陽太。
「軽いな」
蓮。
「でも、もう一緒に踊ってますし」
翔太は少し黙りました。
翔太が気にしたこと
翔太が最初に考えたのは、自分が目立てるかどうかではありませんでした。
「僕が入ったら、今までの4人の形を壊しませんか?」
陽太はすぐ答えました。
「壊れない」
悠真。
「むしろ増えるだけです」
蓮。
「フォーメーションの幅も増えます」
リン。
「俺たち、最初から形を固定してないでしょ」
その言葉で、翔太は少し笑いました。
確かにそうでした。
BOY&BOYISHは、
2人から始まり、
4人になり、
衣裳も変わり、
歌も増え、
地域活動もスポーツもドラマも取り込んできました。
固定しないことこそ、むしろ伝統でした。
カイルの判断
カイルは翔太を単なる「追加ダンサー」とは考えていませんでした。
翔太には、
物語を身体で理解する力
がありました。
振付を、
右、左、ターン。
ではなく、
「ここで誰が前へ出るか」
「ここで誰を見せるか」
「この8カウントで何を伝えるか」
として覚える。
それは他の4人にはない能力でした。
カイル。
「翔太が入ると、ステージに脚本が入る」
彩花。
「その説明、妙に納得する」
メンバー会議
正式加入を決める前に、5人だけで話しました。
陽太。
「無理に芸能活動を増やすつもりはない」
リン。
「学業優先も変わらない」
蓮。
「地域活動部としての方針も同じ」
悠真。
「衣裳も好きなの選べばいいです」
翔太。
「スカートは?」
リン。
「履きたいなら履く」
翔太。
「じゃあ履きます」
悠真。
「即答!」
BOY&BOYISH 5
その日のホワイトボード。
カイルが大きく書きました。
BOY&BOYISH 5
その下に、
佐藤陽太
林 明(リン)
高橋 蓮
水野悠真
竹本翔太
彩花。
「正式?」
カイル。
「正式」
リン。
「増えたねえ」
陽太。
「最初2人だったのにな」
翔太のポジション
翔太の役割はかなり独特でした。
陽太は力強さ。
リンは流れとターン。
蓮は位置取りと安定感。
悠真は軽さと瞬発力。
そして翔太は、
「物語を見せるダンサー」
という位置づけになりました。
ダンスの途中で、
視線。
間。
立ち位置。
表情。
それらを使って、ステージ全体に「場面」を作る。
カイルは、
「翔太がいると、曲が短編ドラマになる」
と評価しました。
5人フォーメーション
人数が5人になると、振付は大きく変わりました。
中央に一人。
左右に二人ずつ。
三角形。
V字。
一直線。
円形。
4人では作りにくかった構図が増えます。
蓮。
「センター固定しなくていいですね」
カイル。
「毎曲変える」
陽太。
「翔太センターも?」
「当然」
翔太。
「え?」
初の5人曲
新体制最初の曲は、
『五つの歩幅』
でした。
テーマは、
違う歩き方でも、同じ場所へ進める。
前半は一人ずつ別の動き。
中盤で少しずつ交差。
終盤で5人が同じ方向へ並ぶ。
最後だけ、完全に揃える。
翔太。
「分かりやすいですね」
カイル。
「だから強い」
衣裳
新しい5人制服スタイルも作られました。
陽太と蓮はスラックス。
リンと悠真はプリーツスカート。
翔太は、
本人希望で、
プリーツスカート。
彩花。
「本当に定着したわね」
翔太。
「動きやすいですから」
リン。
「それ俺が昔から言ってる」
翔太。
「実際に踊ると分かりますね」
加代の反応
沢村加代は、正式加入の知らせを聞いて、しばらく翔太を見ました。
翔太。
「何?」
加代。
「高校の新聞部副部長だった人が」
「うん」
「大学でスカート履いて歌って踊ってる」
翔太。
「人生分からないね」
加代。
「本当にね」
でも加代は嬉しそうでした。
海老楽テレビで発表
新体制は、海老楽テレビの地域番組で正式発表されました。
司会。
「BOY&BOYISH 4に新メンバーが加わります!」
画面に、
BOY&BOYISH 5
のロゴ。
翔太が一歩前へ。
「竹本翔太です。よろしくお願いします」
司会。
「脚本家の竹本さんですよね?」
「はい」
「踊るんですか?」
「踊ります」
「歌も?」
翔太。
「練習中です」
地域の反応
放送後。
商店街。
「翔太君、今度は踊るの?」
「はい」
「脚本は?」
「書きます」
「お好み焼きは?」
「食べます」
「忙しいねえ」
翔太。
「僕もそう思います」
BOY&BOYISH 5の特徴
5人体制になっても、基本理念は変わりませんでした。
有名になることを目的にしない。
学業を優先する。
地域との距離を遠くしない。
服装を押しつけない。
違いを競わせない。
そして、
新しい才能が見つかったら、役割を増やす。
これが海老楽大学地域活動部らしいやり方でした。
初ステージ
正式加入後、初の5人ステージ。
海老楽市の地域フェス。
観客席には、
子ども。
学生。
高齢者。
商店主。
XSparkのブースター。
海老楽大学野球部の選手。
東高校新聞部。
いろんな人がいました。
音楽開始。
陽太。
リン。
蓮。
悠真。
そして翔太。
5人が並びます。
「BOY&BOYISH 5!」
司会の声。
大歓声。
翔太は少しだけ緊張していました。
リンが横から小声。
「楽しもう」
翔太。
「はい」
カイル。
「スタート!」
5人が動く
陽太が前へ。
リンが回る。
蓮がラインを整える。
悠真が跳ぶ。
翔太が中央で一瞬止まる。
視線を上げる。
そこから4人が翔太の周囲へ集まる。
そして5人同時に前へ。
客席の歓声が大きくなりました。
終演後
舞台袖。
悠真。
「もう完全にメンバーですね」
翔太。
「そうみたいですね」
蓮。
「今さらです」
リン。
「ようこそ」
陽太。
「5人目」
翔太は少し笑いました。
「よろしくお願いします」
2から5へ
BOY&BOYISHは、
陽太とリンの2人から始まりました。
そこへ蓮と悠真。
そして翔太。
人数は増えました。
でも、
最初から大切にしてきたものは変わりません。
違う人が並ぶ。
違う服を着る。
違う動きをする。
その違いを消さず、
一つのステージにする。
こうして、
BOY&BOYISH 5
が正式に誕生しました。
そして地域活動部のホワイトボードには、
カイルの字で一言。
「人数が増えたんじゃない。表現が一つ増えた。」
その横に、翔太が小さく書き足しました。
「脚本も書きます。」
さらにリン。
「踊ります。」
悠真。
「歌います。」
陽太。
「勉強もしろ。」
最後の一言だけ、全員一致で丸がつけられていました。




