【83号】桜木遙ドラマ 純粋な夢と絆の光 令和070417 

 

悠斗くんの青春ドラマ:純粋な夢と絆の光
第5話:SPARKLE VIBEと絆の鼓動
文:桜木遥
シーン1:撮影前の緊張
2022年6月、夏。東京のスタジオは、初夏の陽射しで明るい。藤田悠斗(19歳、医学部2年)は、スターライズエージェンシーの楽屋で鏡を見つめる。丸顔に垂れ目の純粋な瞳、黒髪のウェーブが汗で額に張り付く。オレンジの「SPARKLE VIBE」スポーツブリーフと白いTシャツを着た姿は、初めての自分を見ているようだ。
「俺…ほんとにモデルなんてできるのかな…」
悠斗が呟くと、佐藤陽太(21歳、医学部4年)がダークグリーンのブリーフ姿で現れる。切れ長の目と爽やかな笑顔が、楽屋の緊張を和らげる。
「よ、悠斗!めっちゃ似合ってるじゃん!緊張してんの?」
「陽、陽太先輩…うん、めっちゃ緊張してる…」
悠斗が縮こまると、陽太が肩をぽんと叩く。
「俺も初めての撮影、足震えたぜ。けど、カメラの向こうに誰かの笑顔があるって思えば、楽になるよ」
陽太の言葉に、悠斗は祖父・明夫の「人の心を救う仕事」を思い出す。
「笑顔…うん、陽太先輩、頑張ってみる!」
そこへ、山田彩花(21歳、医学部4年)が観客席から顔を出す。ショートカットの黒髪と柔らかな笑顔が、スタジオに花を添える。
「悠斗くん、陽太、かっこいいよ!私、応援団長ね!」
彩花が手を振ると、悠斗の頬が赤くなる。陽太が「彩花、声デカいって!」と笑い、三人の笑顔が楽屋を温かくする。
シーン2:撮影の試練
スタジオでは、KIRINOWAKAとNEXTRUNの共同キャンペーン「SPARKLE VIBE」のCM撮影が始まる。照明が眩しく、カメラマンが「エネルギー!若さを!」と叫ぶ。陽太は慣れたポーズでカメラを惹きつけ、スタッフから「さすが!」と声が上がる。
だが、悠斗は硬直。カメラマンの「悠斗、もっと動きを!」に、ぎこちなく手を上げるが、タイミングを外す。スタッフのざわめきに、悠斗の心が縮こまる。
「俺…やっぱりダメだ…陽太先輩と全然違う…」
陽太が気づき、カメラの前で悠斗の手を引く。
「悠斗、俺と一緒に動け!ほら、こう!」
陽太が軽快にステップを踏み、悠斗も必死で真似る。カメラマンが「いいぞ、コンビ感出てきた!」と叫ぶ。陽太が耳元で囁く。
「お前、俺の傷見たろ?あの時、俺もダメだと思った。でも、誰かのために輝きたかった。悠斗もだろ?」
陽太の傷跡が、悠斗の脳裏に浮かぶ。祖父の「心を救う」という言葉と重なり、悠斗の瞳に光が宿る。
「陽太先輩…うん、俺、輝きたい!」
悠斗は深呼吸し、カメラに笑顔を向ける。オレンジのブリーフが光を反射し、陽太のグリーンと調和する。彩花が観客席から「悠斗くん、最高!」と拍手。シャッター音が響き、スタジオが歓声に包まれる。
シーン3:撮影後の涙
撮影後、楽屋で悠斗は汗を拭きながら陽太に言う。
「陽太先輩、ありがとう…俺、ミスばっかだったけど、先輩がいてくれたから…」
陽太が笑う。
「ミスなんて誰でもする。悠斗の笑顔、めっちゃよかったぜ。な、彩花?」
彩花が楽屋に入り、「うん!悠斗くん、純粋さがキラキラしてた!陽太もかっこよかったけどね」と笑う。陽太が「彩花、俺が主役だろ!」と拗ね、三人が笑い合う。
だが、悠斗の目に涙がにじむ。
「俺…陽太先輩の傷、すごいって思ったけど、今日、ほんとに分かった。先輩、辛いこと乗り越えて、こんなに優しくて…俺、もっと強くなりたい」
陽太が一瞬驚き、そっと悠斗の頭を撫でる。
「悠斗、お前、ほんと純粋だな。俺もお前の笑顔に救われてるよ。一緒に強くなろうぜ」
彩花がハンカチを差し出し、「悠斗くん、陽太、二人とも私の宝物だよ」と目を潤ませる。楽屋の鏡に映る三人の笑顔が、友情の鼓動を刻む。
シーン4:喫茶店の約束
夕方、三人はスタジオ近くの喫茶店へ。レトロな木のテーブルに、クリームソーダとサンドイッチが並ぶ。彩花が「悠斗くん、モデル続けるよね?医者と両立、応援するよ」と言う。陽太が続ける。
「医者もモデルも、人の心を動かす仕事だ。悠斗なら、どっちも輝ける。俺が保証する」
悠斗はクリームソーダの泡を見つめ、呟く。
「陽太先輩、彩花さん…俺、医者になって、人の心を救いたい。モデルも、誰かの笑顔のために頑張りたい。二人と一緒なら、怖くないよ」
陽太が「いいね、悠斗!その気持ち、忘れんな」と笑う。彩花が「私たち、ずっと仲間だよ」と手を握る。悠斗の目に涙が光り、夕陽が三人を温かく照らす。
「ありがとう…俺、こんな友達ができて、ほんと幸せだ」
陽太が「泣くなよ、ソーダが薄まるぞ」と冗談を言い、彩花が「陽太も泣きそうじゃん!」と笑う。喫茶店の窓から見える東京の空に、初夏の星が瞬き始める。
シーン5:アパートの光
夜、悠斗のアパート。机には祖父の医療日誌と、撮影のスチール写真。陽太と悠斗が笑い合う一枚だ。悠斗は母・恵美に電話をかける。
「母ちゃん、俺、モデルやってみた!陽太先輩と彩花さんがいて、すっごく楽しかった!」
「悠斗、よかったね!祖父ちゃんも笑ってるよ」
恵美の声に、悠斗は笑顔になる。電話を切り、日誌に書く。
「陽太先輩、彩花さん、ありがとう。俺、医者もモデルも、二人と一緒に輝くよ」
窓の外、都会の灯りが揺れる。悠斗は医学書を開き、祖父の写真に微笑む。
「祖父ちゃん、俺、今日、友達の光を見たよ」
エンディング
スタジオのオレンジとグリーンの光が映し出される。陽太と悠斗がカメラに笑顔を向け、彩花が拍手する。悠斗のナレーション。
「陽太先輩の傷は、俺の心を強くした。彩花さんの笑顔は、俺を温める。二人と一緒なら、どんな夢も叶うよ」
画面が暗転し、喫茶店のクリームソーダの泡が静かに弾ける。悠斗の友情が、新たな輝きを放つ。

桜木遥のあとがき
第5話、いかがでしたか?悠斗くんのモデル初挑戦を、陽太先輩と彩花さんの友情が温かく支える姿に、私も涙がこぼれました。橋田壽賀子さんのように、撮影の緊張や喫茶店の笑顔といった日常に、絆の鼓動を込めました。悠斗の純粋な涙と陽太の優しさが、皆さんの心に響いたら嬉しいです。次回は、母からの手紙が届く第6話。悠斗の故郷との絆がどう輝くか、楽しみにお待ちくださいね。

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