【1332号】BOY&BOYISH 4 海老楽大学へつながる春  令和080924

 


海老楽大学へつながる春

「三人とも、同じ大学へ」

県立東高校新聞部にも、いよいよ進路の季節がやってきました。

山下慎一郎。

川野忠。

若野美佐子。

三人とも高校3年生。

東高校新聞部を支えてきた三人は、部活動だけでなく受験勉強にも向き合っていました。

そしてある日。

慎一郎のもとへ、大学から一通の通知が届きます。

封筒の左上には、

海老楽大学

の文字。

慎一郎はしばらく封筒を見つめていました。

慎一郎の母。

「開けないの?」

慎一郎。

「……開けます」

ゆっくり封を切ります。

中の書類を読んで、

慎一郎の表情が止まりました。

そして小さく、

「受かった……」





社会福祉学部、推薦合格

慎一郎が合格したのは、

海老楽大学 社会福祉学部

でした。

推薦入試。

東高校新聞部での活動。

地域取材。

部長としての経験。

柔道をはじめとした学校活動。

そして、人の話を聞き、地域の課題を伝えてきた経験。

それらを踏まえて、慎一郎は社会福祉学部を志望していました。

父親が言います。

「慎一郎らしい学部だな」

慎一郎。

「うん」

「地域の人とか、困ってる人とか、もっとちゃんと勉強したい」

中学時代、自分自身が支えられたこと。

新聞部で多くの人に出会ったこと。

海老楽大学地域活動部を取材したこと。

リンと親友になったこと。

加藤直哉の更生を見たこと。

それら全部が、

社会福祉学部という進路へつながっていました。


リンへ報告

慎一郎が最初に報告したかった相手の一人は、

もちろんリンでした。

地域活動部の部室。

慎一郎。

「リン先輩」

リン。

「ん?」

慎一郎は少し緊張しながら言います。

「海老楽大学、受かりました」

リン。

「え?」

「社会福祉学部です」

一瞬。

リンの表情が変わりました。

そして、

「本当に!?」

慎一郎。

「はい」

リンは慎一郎の肩を叩きます。

「やったじゃん!」

陽太。

「おめでとう」

彩花。

「推薦?」

「はい」

カイル。

「社会福祉学部か。ぴったりだね」

加藤。

「じゃあ来年、普通に大学で会うのか」

慎一郎。

「そうなります」


しかし話はそれだけではなかった

そのとき。

部室のドアが開きました。

「こんにちは」

川野忠と若野美佐子でした。

リン。

「ちょうど慎一郎の合格聞いたところ」

忠。

「そうですか」

美佐子。

「じゃあ私たちも言っていいかな」

慎一郎が二人を見る。

「え?」

忠。

「俺も海老楽大学、推薦合格しました」

慎一郎。

「えっ?」

さらに美佐子。

「私も」

慎一郎。

「ええっ!?」




三人とも海老楽大学

慎一郎は完全に驚いていました。

「聞いてない!」

忠。

「今日言おうと思ってた」

美佐子。

「慎一郎の結果も今日だったでしょう?」

慎一郎。

「そうだけど!」

部室が笑いに包まれます。


川野忠の進路

忠は、写真や取材活動を通じて、

地域の魅力を伝えることに興味を持つようになっていました。

高校新聞部では、

地域イベント。

スポーツ。

商店街。

海老楽大学地域活動部。

数え切れないほど撮影しました。

その経験から、

地域メディア、広報、映像、情報発信

に関わる勉強をしたいと考えるようになりました。

推薦合格したのは、

海老楽大学のメディア・地域情報系の学科でした。

忠。

「写真だけじゃなく、映像もちゃんと勉強したいんです」

カイル。

「それ、うちのドラマ制作に使えるね」

忠。

「もう仕事決まってるんですか?」

彩花。

「海老楽大学へようこそ」

忠。

「まだ入学前です!」


若野美佐子の進路

美佐子もまた、

新聞部で壁新聞や紙面構成を担当してきました。

文章。

レイアウト。

情報整理。

人の話を分かりやすく伝えること。

それが得意でした。

そして、

地域活動部の取材を続ける中で、

教育や地域交流

にも関心を持つようになります。

美佐子は海老楽大学の教育系学部へ推薦合格していました。

美佐子。

「子どもたちに何かを伝える仕事に興味が出てきて」

リン。

「小学校のあいさつ運動とか見てたもんね」

「はい」

「地域と学校がつながるのって、面白いなって思いました」


三人で顔を見合わせる

慎一郎。

「じゃあ来年……」

忠。

「また同じ学校」

美佐子。

「新聞部から大学へ」

慎一郎。

「高校からずっと一緒じゃん」

忠。

「嫌?」

慎一郎。

「全然」

三人とも笑いました。


翔太と加代の反応

この話を聞いた竹本翔太と沢村加代も、嬉しそうでした。

翔太。

「また東高新聞部から来るんだ」

加代。

「しかも三人まとめて」

慎一郎。

「迷惑ですか?」

加代。

「逆」

「安心する」

翔太。

「高校のときからどういう人か知ってるからね」

彩花。

「地域活動部、来年また人増える?」

慎一郎。

「まだ入るって言ってません」

忠。

「俺は入るつもりです」

美佐子。

「私も興味あります」

慎一郎。

「じゃあ僕も」

リン。

「結局入るんじゃん」


慎一郎の決意

帰り道。

慎一郎とリンは少しだけ二人で歩きました。

リン。

「社会福祉学部、楽しみ?」

慎一郎。

「はい」

少し間を置いて、

「リン先輩たちを取材してたら、勉強したくなりました」

リン。

「俺たち?」

「地域福祉とか、更生とか、居場所とか」

「記事にするだけじゃなくて、ちゃんと知りたいなって」

リンは笑いました。

「じゃあ今度は取材する側じゃなくて、実践する側だね」

慎一郎。

「そうですね」

そして、

「でも新聞も続けたいです」

リン。

「欲張りだな」

慎一郎。

「リン先輩に言われたくないです」

二人は笑いました。


卒業まで

もちろん、まだ高校生活は終わっていません。

新聞部の引き継ぎ。

卒業号。

後輩指導。

学校行事。

受験が終わっても、やることは残っています。

慎一郎は後輩へ言いました。

「僕たちが卒業しても、東高新聞は続くから」

忠。

「写真の撮り方、全部教える」

美佐子。

「壁新聞のレイアウト資料も残していくね」

東高校新聞部の伝統は、

また次の学年へ渡されていきました。


そして春へ

卒業式。

三人は東高校の校門前で写真を撮りました。

山下慎一郎。

川野忠。

若野美佐子。

高校新聞部の仲間。

そして次に向かう場所は、

三人とも、

海老楽大学

でした。

慎一郎。

「大学でもよろしく」

忠。

「当然」

美佐子。

「また取材しようね」

慎一郎。

「今度は自分たちが取材される側かも」

忠。

「それも面白い」


リンの楽しみ

その頃、海老楽大学地域活動部。

リンが来年度の活動予定を見ています。

陽太。

「何見てるの?」

リン。

「新入生歓迎会」

「もう?」

「慎一郎たち来るから」

陽太。

「楽しみなんだ」

リン。

「そりゃね」

そして少し笑って、

「親友が同じ大学に来るんだから」

と言いました。


こうして、

東高校新聞部で育った三人は、海老楽大学へ。

慎一郎は社会福祉。

忠は地域メディア。

美佐子は教育。

進む分野は違います。

でも、

人の話を聞き、地域を見つめ、誰かへ伝える

という東高新聞部で学んだ原点は同じでした。

高校新聞から大学へ。

取材から実践へ。

そして、

次の春から、三人の物語もBOY&BOYISH 4の世界へ本格的に合流していくのでした。

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