【1349号】BOY&BOYISH 4 学園祭の二人組から、街をつなぐ物語へ 令和080927

 







BOY&BOYISH年代記

学園祭の二人組から、街をつなぐ物語へ

ここまでの物語を時系列で並べると、BOY&BOYISHはかなり面白い育ち方をしています。

最初から地域福祉や学内会社を目指した物語ではありません。二人の大学生が学園祭で踊ったことから始まり、人との出会いと出来事が一枚ずつ地層のように積み重なって、現在の巨大な世界へ成長しました。


第一章 陽太とリン

物語の根には、**佐藤陽太と林 明(リン)**の友情があります。

二人は中学時代からの友人でした。

リンはいじめを経験し、自分に自信を持てなくなった時期がありました。そのとき陽太は、大げさに救世主を演じるのではなく、必要なときにリンのそばにいました。

その関係は大学進学後も続きます。

海老楽大学で二人の身体表現に注目したのが、企画を得意とする山田カイル。そして記録・広報を担う田中彩花でした。

陽太は力強い踏み込みと安定した着地。

リンはターンと脚線を生かした流れる動き。

カイルは二人の違いを消さず、

「違うから面白い」

と考えました。

そして学園祭用の二人組、

BOY&BOYISH

が誕生します。

陽太はスラックス。

リンはプリーツスカート。

ここからすべてが始まりました。


第二章 「スカートの人」から「リン」へ

当初、リンの衣裳には周囲から疑問の声もありました。

家族も最初から全面的に理解していたわけではありません。

しかしリンは、衣裳を奇抜さのためには使いませんでした。

練習する。

地域の人へ挨拶する。

子どもと接する。

高齢者の話を聞く。

イベント後は片付ける。

そうした行動を積み重ねました。

やがて地域では、

「なぜ男性なのにスカートなのか」

という質問そのものが減ります。

人々が見ていたのが服ではなく、

リン本人

になったからです。

この変化は、のちの物語全体を貫く「違いを特別扱いしすぎず、自然に受け入れる」という価値観につながりました。


第三章 学園祭から海老楽市へ

BOY&BOYISHは大学祭だけで終わりませんでした。

地域祭り。

商店街。

敬老行事。

こども園。

地域イベント。

そして地元局の海老楽テレビ。

活動範囲はキャンパスの外へ広がっていきます。

海老楽テレビでは、商店街を歩いて店主や住民と交流する地域番組にも出演。

二人は芸能人として遠い存在になるのではなく、

「テレビにも出ているけれど、商店街で普通に話せる大学生」

として知られるようになります。

カイルはこの時点で方針を明確にしました。

「有名になってもいい。でも、有名になることを目的にしない。」

これがBOY&BOYISHの基本理念になります。


第四章 地域活動部の誕生

BOY&BOYISHの活動は、ダンスユニットだけでは収まらなくなります。

清掃活動。

子どもとの交流。

学校訪問。

高齢者との活動。

スポーツ。

地域広報。

行政との連携。

海老楽大学はこれらを評価し、活動組織を正式な

海老楽大学 地域活動部

へ昇格させました。

ここで物語は、

学生ユニットの青春物語

から、

大学と地域との関係を描く物語

へ広がり始めます。


第五章 蓮と悠真

新入生として、

高橋 蓮
水野悠真

が加入します。

蓮は陽太に憧れました。

悠真はリンに強い影響を受けました。

しかし二人には、高校時代に地域で迷惑をかけた過去がありました。

悠真はさらに、かつてスカート姿のリンを見て、友人たちと嘲笑した経験まで告白します。

ところが、海老楽テレビや動画でリンの地域活動を見るうちに、

「変だったのはリン先輩じゃない。人を見た目だけで笑っていた自分だ」

と気づきます。

二人は過去を隠さず、地域活動を通じて変わっていきました。

こうして、

陽太。

リン。

蓮。

悠真。

四人による

BOY&BOYISH 4

が誕生します。

制服スタイルでは、

陽太・蓮がスラックス、リン・悠真がプリーツスカート。

四人は歌唱も取り入れ、活動の幅をさらに広げていきました。


第六章 街の歌をつくる

活動が増えると、既存曲だけではなく、

海老楽市自身の歌

を持とうという企画が生まれます。

海老楽大学と海老楽市役所が連携。

市議会で制作関連予算も組まれ、公募曲事業が始まりました。

代表曲は、

『この街で、ずっと。』

しかし特徴的だったのは、優勝曲だけを残さなかったことです。

応募曲を権利確認し、条件を満たした作品はアルバムや地域イベントなどにも活用。

著作権と収益分配も整理され、

地域に音楽資産を残す仕組み

になりました。


第七章 スポーツへ

ダンスで鍛えた四人は、実はかなり運動能力が高いことも分かってきます。

海老楽大学サッカー部との練習試合。

中学校男子バスケットボール部への月1回の協力。

学校でのあいさつ運動。

四人は「教えるスター」ではなく、

一緒に身体を動かす大学生

として学校現場にも溶け込みました。

そして後には、

海老楽大学野球部の大学リーグ戦へチアリーディングスタイルで参加。

それまで満員になったことのなかった球場を、

海老楽市民で初の満員

にします。

さらに現在では、海老楽市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム

XSpark

のホームゲームにも出演。

朱色のユニフォームを着る対戦相手YGPTとの試合では、ホーム側だけでなくアウェーブースターにも敬意を示す演出を実施しました。

紺と朱の観客席双方から支持され、

アリーナは満員でチケット打ち止め。

BOY&BOYISH 4は、スポーツの勝敗とは別に、

観客同士をつなぐ存在

にもなりました。


第八章 失敗と信頼

物語は成功ばかりではありません。

悠真が高校時代の友人たちとラーメン店を訪れた際、友人たちが騒ぎ、注意後も十分に改められなかった出来事がありました。

リンは悠真を厳しく叱ります。

「信頼は積み上げるのに時間がかかる。でも壊れるのは一瞬。」

悠真は店へ謝罪。

友人たちも後日、地域活動部へ正式に謝りに来ました。

そして地域活動へ参加するようになります。

ここから物語には、

信頼は謝罪だけでなく、その後の行動で作り直す

というテーマが強く入り始めました。


第九章 大学の不祥事と地域福祉

海老楽大学の別の部で飲酒関連の不祥事が発生。

大学そのものを見る地域の目が厳しくなりました。

地域活動部はBOY&BOYISH 4の知名度だけで押し切るのではなく、

清掃。

地域交流。

学校。

スポーツ。

福祉。

住民との対話。

といった日常の活動を見せるイベントを行います。

結果、地域との信頼は徐々に回復。

このあたりから物語は明確に、

地域福祉論

の世界へ入りました。

住民参加。

地域共生社会。

ソーシャルキャピタル。

エンパワメント。

地域ネットワーク。

社会資源。

コミュニティワーク。

地域アセスメント。

地域づくり。

教科書の言葉が、登場人物たちの日常そのものになっていきます。


第十章 服から地域産業へ

彩花は、

「衣裳はスカートにこだわる必要もないわね」

と提案。

地元アパレルメーカーやデザイナーとの共同企画が始まります。

子どもから高齢者まで着られる、

明るくスタイリッシュな

EBIRAKUブランド

が誕生。

さらに新進気鋭のデザイナー藤崎レオが参加し、リンと悠真には新しいスカート制服を設計。

見た目の美しさだけでなく、

動きやすさ。

風への対策。

プライバシー。

盗撮防止。

までデザインへ組み込みました。

キャンペーンテーマは、

「好きな服を、安心して。」

服装の自由と安全を同時に扱うプロジェクトへ発展します。


第十一章 東高校新聞部との合流

地域活動部へ新しい流れを持ち込んだのが、

県立東高校新聞部の卒業生、

竹本翔太
沢村加代

です。

二人は海老楽大学へ進学し、地域活動部へ加入。

翔太は穏やかな観察力と文章・取材能力。

加代は優れた企画・管理能力。

彩花とカイルは二人の才能に驚きました。

そして二人の後輩として、

山下慎一郎
川野忠
若野美佐子

ら東高校新聞部員が定期的に地域活動部へ取材に来るようになります。

高校と大学の間に、人の往来が生まれました。


第十二章 山下慎一郎とリン

山下慎一郎は、東高校新聞部で一年生後半から部長へ抜擢された人物です。

小柄で細身。

穏やか。

挨拶が気持ちよく、失敗すれば素直に謝れる。

人と人をつなぐ能力を、上級生の沢村加代と竹本翔太から高く評価されました。

慎一郎自身も二人を姉兄のように尊敬しています。

そして慎一郎は、リンと特別な関係を築いていきます。

二人には共通点がありました。

中学時代にいじめを経験していること。

慎一郎は、幼なじみの忠にも美佐子にも詳しく話していなかった経験を、

リンだけに告白しました。

二人とも一人っ子。

慎一郎にとってリンは、次第に、

友人。

先輩。

親友。

そして、

兄のような存在

になっていきます。

リンにとっても慎一郎は、弟のような存在となりました。


第十三章 東高校新聞部の系譜

慎一郎の周囲には、長い新聞部の物語もあります。

慎一郎より一学年上だった、

若葉良輔、三原啓介、大橋恵、浦上薫、松山浩輔

の五人は、東高校卒業後、

海老楽大学社会福祉学部

へ進学。

この時点で慎一郎はまだ高校3年生です。

若葉は慎一郎が体力をつけるために始めた運動部体験取材に触発され、トレーニングを開始。

無理な減量ではなく、運動と筋力トレーニングを継続し、

スリムで筋肉質な青年

へ変化しました。

さらに、記事制作やPCレイアウトで培った能力から、

人をどう見せれば魅力が伝わるか

というプロデュースの才能まで開花していきます。


第十四章 更生保護の物語

リンへのX上の誹謗中傷事件も発生しました。

突破口を作ったのは、ITにも強い若葉良輔。

相手は、リンを中学時代にいじめた海老楽大学生、

加藤直哉でした。

加藤は逮捕され、略式起訴、罰金、大学から1か月停学。

その後、地域活動部へ謝罪します。

リンは、

「過去は消えない。でも、これから何をするかは見る。」

と答えました。

加藤はすぐには入部を許されません。

清掃。

イベント設営。

高齢者交流。

子どもとの活動。

地味な活動を何か月も続けました。

やがて正式入部。

それでも大学内では過去を理由に侮辱されます。

そのとき加藤を守ったのは、

被害を受けたリン自身

でした。

リンは、

「俺が一番、何をされたか知ってる。その上で今の加藤を見てる。」

と学生たちへ伝えます。

この姿勢は大学内でも大きな支持を得ました。


第十五章 教室へ

リンと加藤の経験は、

海老楽大学教育学部と社会福祉学部の特別講義になります。

教育学部では、

「いじめと関係修復」

社会福祉学部では、

「更生と地域再統合」

をテーマに講演。

リンは、

「被害を受けた人に許す義務はない。」

加藤は、

「過ちを犯した人に信頼される権利が自動的に戻るわけでもない。」

と語ります。

この講義は好評となり、

年1回の恒例講義

になりました。


第十六章 お好み焼きミーティング

竹本翔太が東高校新聞部時代から続けていた、

《お好み焼きミーティング》

も大学へ持ち込まれました。

最初は地域活動部の話し合い。

その後、

学部。

サークル。

地域住民。

商店主。

へ拡大。

さらに翔太の行きつけだけではなく、海老楽市内のお好み焼き・たこ焼き店を巡る方式に。

店の取材やグルメ情報まで発信され、

紹介店舗の売上が伸びる例も出ます。

地域活動部では、

これを

「食べる地域活動」

と呼ぶようになりました。


第十七章 竹本翔太、脚本家になる

そのお好み焼きミーティングから、新しい娯楽が誕生します。

文芸演劇部との会話をきっかけに、

翔太が陽太とリンをモデルにした、

爆笑感動ラブストーリー

を書き始めました。

タイトルは、

『君と笑って、たぶん恋をする。』

海老楽大学の学生たちが協力してドラマ化。

海老楽テレビの地元娯楽枠で放送され、人気を獲得しました。

続編リクエストが殺到。

翔太はさらに、

『この街で、また笑おう。』

という全12話の地域群像劇を書き上げます。

陽太とリンだけでなく、

商店街。

高齢者。

若者。

加藤。

東高校新聞部。

地域の家族。

などを描く、本格的な連続ドラマへ発展。

翔太の新しい才能、

脚本家

が誕生しました。


第十八章 学内会社

活動が大きくなりすぎた結果、

カイルと彩花は学長から呼ばれました。

EBIRAKUブランド。

イベント。

地域企業との共同事業。

商品企画。

広報。

地域情報。

もう単なる部活動の規模ではありません。

そこで大学は、活動の事業部分を、

海老楽大学地域デザイン株式会社

EBIRAKU CONNECT

という学内会社として正式認可しました。

カイルが企画統括。

彩花が運営・広報・地域連携。

ただし、地域活動部そのものを会社化したわけではありません。

地域活動部は、

人とつながる場所。

会社は、

つながりを事業として形にする場所。

会社の理念は、

「地域の困りごとを、地域の可能性に変える。」

そして、

「利益は地域へ、経験は学生へ。」

となりました。


第十九章 《シンリン》

現在に近い新しい展開が、

リンと慎一郎のダンスユニット、

《シンリン》

です。

これはBOY&BOYISH 4からの分裂ではありません。

慎一郎とリンが兄弟のような関係になったこと。

若葉良輔のプロデュース能力が開花したこと。

カイルがAIを使った新しい振付開発を始めたこと。

これらが重なって誕生しました。

AIで、

ターン。

身体の軌道。

二人の距離。

カメラ位置。

衣裳の動き。

などを大量にシミュレーション。

若葉とカイルが案を整理し、

最後はリンと慎一郎自身が身体で調整します。

慎一郎も家族の理解を得て、

リンとともにスカート制服スタイルで出演。

二人のテーマは恋愛ではなく、

兄弟のような信頼。

BOY&BOYISH 4のメンバーも歓迎し、

《シンリン》で開発したAI振付技術は、本体のBOY&BOYISH 4にも取り入れられることになりました。

派生ユニットが本体を弱めるのではなく、

新しい技術を持ち帰って、本体まで強くする。

非常にこの物語らしい展開です。


第二十章 現在

現在のBOY&BOYISHの世界には、

BOY&BOYISH 4。

シンリン。

地域活動部。

東高校新聞部。

EBIRAKUブランド。

EBIRAKU CONNECT。

海老楽テレビ。

海老楽大学教育学部・社会福祉学部。

商店街。

学校。

スポーツチーム。

地域住民。

多くの人と組織が存在しています。

それぞれが別々に動きながら、

どこかでつながっています。


最初から振り返ると

始まりは本当に小さなものでした。

陽太がスラックス。
リンがプリーツスカート。
学園祭で二人が踊る。

それだけでした。

ところが二人が地域へ出たことで、

人が増えました。

蓮と悠真。

彩花とカイル。

翔太と加代。

慎一郎。

忠と美佐子。

若葉たち東高校新聞部の仲間。

加藤直哉。

藤崎レオ。

地域の店主。

学校の子ども。

高齢者。

スポーツ選手。

一人増えるたびに、

その人物が別の世界を持ち込んできます。


BOY&BOYISHの物語を一言で言うなら

これは、

成功する学生ユニットの物語ではありません。

有名になることも、

会社を作ることも、

満員の球場やアリーナに立つことも、

結果にすぎません。

中心にあるのはずっと、

人と人が出会って、相手を知ること。

です。

リンの服装を知る。

悠真の過去を知る。

慎一郎の傷を知る。

加藤の過ちを知る。

地域の困りごとを知る。

店主の話を知る。

相手チームのファンも知る。

そして、

知ったあとで、どう関わるかを自分たちで選ぶ。

それが、この世界をここまで大きくしてきました。


物語は現在地点へ

BOY&BOYISHは二人から四人へ。

そして四人から、

さらに大勢の人へ。

でも不思議なことに、

原点はまだ残っています。

陽太がいて。

リンがいて。

音楽が流れる。

誰かが、

「やってみよう」

と言う。

するとまた、

新しい人が加わります。

だから現在のBOY&BOYISHは、

完成した物語というより、

「街の中で増殖し続ける青春群像劇」

に近いのでしょう。

そして今はちょうど、地域福祉や更生保護を深く描いた第一部を越え、スポーツ、ドラマ、ファッション、AIダンスといった娯楽が本格的に加わり始めた地点です。

学園祭の小さなステージから始まった物語は、まだ終わるどころか、ようやく海老楽市そのものを舞台に遊べるところまで来ました。

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