【1257号】BOY&BOYISH設定~衣裳が変えたのは、見た目だけじゃなかった 令和080915
「衣裳が変えたのは、見た目だけじゃなかった」
海老楽大学の学祭をきっかけに、BOY&BOYISHとして活動を始めた陽太とリン。
最初のころ、リンはスカート衣裳を着ても、まだ少し遠慮がありました。似合っていることは自分でも分かっていた。それでも、周囲の視線を完全には気にしないわけではありませんでした。
ところが、ステージを重ねるごとに変わっていきます。
ターンすればプリーツが大きく広がる。止まればきれいに戻る。観客から歓声が上がる。
「リン、今日すごく良かった!」
「BOYISH、最高だった!」
そんな声が増えるたびに、リンの中で何かがほどけていきました。
以前なら、少し後ろに下がっていた場面でも、今では自分から前へ出ます。
「次、俺から入っていい?」
「この振付、もっと大きくできると思う」
「もう一回やろう。今のターン、まだ詰められる」
彩花はその変化を一番近くで見ていました。
「リン、前よりずっと自分から言うようになったね」
そう言われると、リンは少し照れながら笑います。
「この格好だと、変に隠れなくていい気がするんだよね」
スカートがリンを別人にしたわけではありません。
もともと持っていた明るさや負けず嫌い、表現したい気持ちが、ようやく前に出てきたのです。
陽太も変わった
そして、変わったのはリンだけではありません。
陽太も以前は、必要なことしか言わないタイプでした。
練習でも、
「分かった」
「もう一回」
「そこ違う」
それくらい。
ところが活動が広がるにつれて、陽太も少しずつ積極的になります。
地域イベントの打ち合わせでは、自分からスタッフに声をかける。
ステージ構成では、
「ここ、俺が先に出たほうがリンのターンが見える」
と提案する。
終演後には観客へ、
「今日はありがとうございました」
と、自分からマイクを持って挨拶するようになりました。
リンが前へ出るようになったことで、陽太も自然に一歩前へ出たのです。
二人は競うのではなく、互いに引っ張り合っていました。
彩花の評価
ある日の練習後。
彩花はブログ用の写真を整理しながら、カイルに言いました。
「最初と全然違うね」
カイルは画面をのぞき込みます。
初期の写真。
少し緊張したリン。
その隣で、静かに立つ陽太。
最近の写真。
リンは大きく笑いながらターンし、陽太は力強く前へ踏み込んでいる。
彩花は言います。
「リンはスカートを着たから変わったんじゃなくて、あの衣裳で自分を出せるようになったんだと思う」
カイルもうなずきます。
「陽太も同じだな。最初はリンを支える側だった。でも今は、自分もちゃんと前に出てる」
カイルの評価
カイルは二人の動きを見ながら、こんなふうにまとめます。
「BOYとBOYISHって、衣裳の違いだけじゃなくなったよね」
陽太は強く、大きく、前へ。
リンは軽く、鋭く、広く。
でも性格まで固定されているわけではない。
リンが積極的になれば、陽太も応える。
陽太が提案すれば、リンがさらに広げる。
二人とも、昔よりずっと自分の意見を言うようになりました。
「これが一番いい」
「ここは変えたい」
「次はこうしたい」
カイルはそれを見て満足そうに笑います。
「やっと、二人とも“自分たちのユニット”になってきた」
そして今
大学のキャンパスを歩く二人。
リンはいつものスカート姿。
陽太はスラックス姿。
もう誰も、それを特別な組み合わせとは思いません。
声をかけられれば、リンは笑って応えます。
陽太も立ち止まって話します。
以前より、二人ともよく笑い、よく話し、よく提案するようになりました。
彩花はブログの最後にこう書きます。
衣裳が二人を変えたのではない。
二人が、自分らしく動ける場所を見つけた。
その結果、表情も言葉も前へ出るようになった。
そしてカイルは、その文章を読んで一言。
「うん。これがBOY&BOYISHだね。」
ステージ衣裳から始まったユニットは、いつの間にか二人自身の成長を映すものになっていました。


