【1264号】BOY&BOYISH設定~BOY&BOYISH、これまでの物語整理 令和080916
BOY&BOYISH これまでの物語整理
海老楽大学に通う男子大学生、佐藤陽太と林 明(はやし あきら)。明は高校時代、留学生から「リン・ミン」のように呼ばれたことをきっかけに、いつしかリンという愛称で呼ばれるようになった。
二人の関係は大学から始まったものではない。中学時代、リンは周囲との違いを理由にいじめを受けた経験があり、そのとき最初に彼の側に立ったのが陽太だった。陽太は大げさに励ますのではなく、ただ普通に接し、必要なときには「やめろ」と前に出た。その出来事が、二人の長い信頼関係の原点になっている。
大学では再び同じ場所で過ごすようになり、やがて学園祭のステージ企画をきっかけに、二人はユニットを組むことになる。
BOY&BOYISHの誕生
ユニット名は、陽太がBOY、リンがBOYISH。
衣裳は高校制服風のステージ衣裳を基調とし、陽太はスラックス、リンは短いプリーツスカートを担当する。陽太は力強い踏み込みと安定したジャンプ、リンはターンと脚のラインを生かしたしなやかな動きが持ち味だった。
この対照的なスタイルを形にしたのが、同じ海老楽大学に通う山田カイル。日本人とイタリア人のハーフで、企画や演出を担当する。一方、田中彩花は学生ブログや広報、記録を担当し、二人の活動を外へ伝えていった。
リンのスカート衣裳は、最初こそ周囲から「なぜ男性がスカートなのか」と聞かれることもあった。しかし、活動が広がるにつれて「リン=BOYISH=スカート」という印象そのものが定着していく。
リン自身もスカート姿になることで、以前より積極的になった。大きなターンを提案し、自分から前に出て、振付にも強く意見を出すようになる。陽太もそれに引っ張られるように、以前より自分から提案し、観客や地域の人に声をかけるようになった。
彩花とカイルは、この変化を高く評価した。
衣裳が二人を変えたのではなく、二人が自分らしく動ける場所を見つけたのだと。
大学から地域へ
学園祭でのステージは大成功。
そこから二人は、大学の外へ活動の場を広げていく。
地域の祭り、商店街イベント、シニア向け文化イベント、こども園、大学のチアリーディング企画、水泳大会の特別企画など、さまざまな場所へ呼ばれるようになった。
場所ごとに見せ方も変えた。
子ども向けでは振付を簡単にし、一緒に踊れる動きを増やす。
シニア向けイベントでは、ジャンプを減らし、手拍子やゆっくりした動きを中心にする。
チアリーディングでは、陽太のジャンプ力とリンのターンが思いのほか相性のよさを見せた。
こども園では園児から大人気になり、さらに保護者の母親たちからも強い人気を集めた。記念撮影には、園児以上に長い保護者の列ができたほどだった。
家族との関係
リンの家族は、最初からスカート衣裳をすぐに受け入れたわけではない。
特に親は、「なぜスカートなのか」「大学で笑われないか」「将来に影響しないか」と心配していた。
しかし、学園祭や地域イベントで実際にリンが楽しそうに踊り、地域の人から「また来てほしい」「元気をもらった」と声をかけられる姿を見るうちに、家族の見方も変わっていく。
やがて親は、リンの衣裳を説明する側へ回る。
「あれはBOYISHの衣裳なんです」
「陽太がBOY、リンがBOYISH。二人でひとつなんですよ」
最初の疑問は、理解へ。そして理解は、応援へ変わった。
芸能界には行かない
人気が出ても、カイルと彩花は二人を芸能界や地下アイドルへ進ませなかった。
理由は明確だった。
陽太もリンも、海老楽大学で成績優秀な学生だったからだ。
学業を削ってまで商業芸能へ進む必要はない。
大学や地域の中で活動し、学びと将来を守る。
それが二人にとって一番いい。
その方針は、BOY&BOYISHというユニットの個性にもなった。
テレビの向こうではなく、大学と街で会える存在。
地域に根ざした学生ユニットとして、二人はますます親しまれていった。
地元メディアへ
やがて活動は、新聞や地元ケーブルテレビにも取り上げられる。
地元紙では、
「海老楽大学発 BOY&BOYISH 地域をつなぐ学生ユニット」
と紹介される。
ケーブルテレビでは、二人の練習風景や地域イベントへの参加、カイルの演出、彩花の広報活動まで特集された。
インタビューでリンは、
「二人とも違うままだから、いいんだと思います」
と答えた。
陽太も、
「合わせるところは合わせるけど、無理に同じにはしないです」
と続けた。
その言葉が、BOY&BOYISHを象徴するものになった。
思いがけない再会
そのテレビ放送を見た一人の青年がいた。
リンを中学時代にいじめていた、当時の同級生だった。
青年は過去のことをずっと後悔しており、放送を見たことで、大学までリンに会いに来る。
突然の再会にリンは戸惑った。
すぐに「許す」とは言えなかった。
でも、相手がわざわざ謝りに来たことは受け止めた。
「昔のことを、なかったことにはできない。でも、ここから普通に話せるなら、それでいいよ」
リンはそう伝えた。
陽太はその場で口を挟まなかった。
中学時代はリンを守った陽太だが、今回はリン自身が決めることだと分かっていたからだ。
その後、三人は大学近くのカフェで話し、少しずつ普通の会話ができるようになった。
後日、青年から届いたメモには、
「テレビを見て、今のリンを知れてよかった。あの頃は本当にごめん。これからも応援しています。」
と書かれていた。
リンはそのメモを捨てず、新聞記事と一緒にファイルへ入れた。
そして現在
今のリンは、スカート姿を特別なものとして扱わない。
キャンパスでも、地域でも、日常のスタイルとして自然に過ごしている。
陽太もまた、以前よりよく笑い、よく話し、自分から前へ出るようになった。
二人の人気は対等だ。
陽太が好きな人もいれば、リンが好きな人もいる。
二人セットで応援する人も多い。
そして彩花とカイルは、そんな二人を変えようとはしない。
ただ、二人がもっと二人らしくいられる場所を作り続けている。
BOY&BOYISHは、違いを消さずに並ぶことで生まれたユニット。
中学時代の孤独から始まった友情は、大学でステージへ変わり、やがて地域とのつながりへ広がった。
過去は消えない。
でも、その過去を抱えたまま、二人は前へ進んでいる。
そして今も、海老楽大学のキャンパスでは、
スラックスの陽太と、プリーツスカートのリンが、並んで歩いている。

